飾り気がないからこそ美しい平高奈菜
新型コロナウイルス対策のため入場制限された場内にはおよそ2800人のファンがつめかけていたが、その多くが水上パレードで手を振っていた。その祝福に平高奈菜は満面の笑みを返している。
(C)BOATRACE
そして、表彰セレモニーではクイーンの証しである「ティアラ」を戴冠した。
女性レーサー234名の「憧れ」を戴くときの少女っぽい顔が印象的だったが、これはとりもなおさず素直な人柄がにじみ出た瞬間であった。
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一方、優勝インタビューは淡々としたものだった。その中で「欲がないんです」とも発言している。
しかし、この「欲がない」発言に、平高奈菜の生き方がこめられている。
「欲がないこと」と「飾らないこと」は根っこが同じなのである。
平高奈菜には「自分を大きく見せよう」とか「よく見せよう」という欲がない。
だから飾る必要がないのだ。
余計なプライドをもたないと言い換えてもいい。
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こんなことがあった。
長期フライング休み中、平高奈菜はボートレーサーという看板を完全におろしアルバイトに精を出していたことがある。夏の暑い盛り、引っ越し会社のアルバイトをしていたのだ。
「私は賞金を稼ぐプロのボートレーサー!」という特別な自負心をもっていたらできる芸当ではない。
「私は何にでもなります。何でもします…」という器であることを行動が示している。
だからこそ、必死に仕事をし懸命に暮らす生活者のことがわかるのである。
ゆえに、ファン目線を決して忘れないのが平高奈菜。
「欲はないんですが、ファンの皆さんが盛り上がってくださることがとてもうれしい…」とは、内からのことばである。
勝ち負けや賞金の多寡を超えたボートレースの価値を伝え締めくくった2020年。平高奈菜は1月3日から徳山のオールレディースを走る。
飾らない美しさを堪能したい2021年である。
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