川上剛福岡支部長「クビになる選手出さないように」

今回は、このコラム初の2回目のご登場となる川上剛選手。5月に福岡支部支部長になった経緯とその思いについて、たっぷりとお話しして下さいましたよ。

福岡支部の新支部長となった川上剛選手
福岡支部の新支部長となった川上剛選手

--まず、支部長にはどうやってなるんですか?

川上選手 支部によっても違いますけど、福岡支部の場合は、基本的に立候補です。2名以上が手を挙げれば選挙になりますし、逆に誰も手をあげなければ、今まで役員をしてきた人が前任者からの推薦を受けてそのまま引き継ぎという形を取っています。

--いつか支部長をやりたい! という思いは昔からあったんですか?

川上選手 最初はそんなになかったんですけどねぇ。福岡支部の場合は、支部長、副支部長、理事長まであって、1期2年なんですけど、僕は最初の理事から経験させてもらってて、やっていくと意外に面白くてですね。

--その“面白い”というのはどんなところなんでしょう?

川上選手 例えば、いろんな支部運営であったり練習のやり方だったり、「もっとこういう風にしたらいいのになぁ」ってことを効率良く、みんながウィンウィンになる方法を考えて、そう変えていけるところに面白さを感じたんです。でも、それを具体化するためにはやっぱり役職がないと駄目だなぁって思って…。

--それで立候補をされたんですね? 

川上選手 そうですね。ただ、やっぱり支部長になると結構仕事が増えるので、家族とも相談して考えていたところに前任の支部長さんとか周りの方が後押ししてくれたんで「じゃあ頑張ってみようかな」と思って手を挙げた形ですね。

従来は、支部総会を経て承認していただくんですけど、今回はコロナ(ウイルス感染拡大防止)の影響で総会ができなかったので、委任状をもって承認されました。

--具体的に支部長さんのお仕事内容は?

川上選手 簡単に言うと支部運営ですね。例えば、みんなが練習できる環境を整えてあげたりとか、支部選手会としてやるボランティアだったりとか、支部員の状況を把握してけがしたらお見舞いにも行きますし…ほんとこまごましたことがいっぱいあります。

--練習もようやく再開となりましたが、かなりご苦労があったとか?

川上選手 そうですねぇ。ちょうど信頼回復とコロナとのWパンチの時期だったんで…。でも、選手にとってはやっぱり“練習=精神安定剤”みたいなところもあるんで、どうやって再開するかを実際に場に行って「ここの入り口から入ってここで荷物検査して、検温してからここで着替えて…」とか、かなり入念にシミュレーションしました。

--福岡支部は3場(芦屋・若松・福岡)あるから大変じゃないですか?

川上選手 もともと支部長1人、副支部長2人、理事長1人だったのを、今回から副支部長を1人増やして3人にしたことで、副支部長が各場に1人という担当制ができたんです。

--あ、それ聞きました! 今までの予算を変えずに体制を変えられたんですよね? 具体的に教えていただけますか?

川上選手 はい。まず、やっぱり支部長の手当てが1番多かったんで減らしてそれを補充したのと、元の副支部長2人の分も、3人になれば仕事の負担が少し軽くなるので、もう1人の副支部長の手当に充てました。それで副支部長3人は平等になるようにしたんです。

--反対意見とかはなかったですか?

川上選手 逆に、僕はそれを条件にやってもらおうかなぁと思っていたので、「お金じゃなくて、僕はこう(3人体制に)しようと思うから、それでも良かったら副支部長になって!」ってお願いしたんですね。

やっぱお金じゃない! っていうところ、熱意なんですよねぇ。もうお金とかでやってたらやれないこととかいっぱいあるんで。

--それで引き受けてくれたのは、すごく心強いですね。

川上選手 ほんと、そういった意味じゃぁ、お金じゃなくて熱意の部分で協力してくれるメンバーが支えてくれてるんで安心というかありがたいですね。

--今、一番変えたい! こうしたい! というのはどんなところですか?

川上選手 まずは、施行者と競走会と選手会の三位一体というか…施行者さんが場所を提供して開催してくれるからレースができる、審判が時計を回してジャッジしてくれるからレースがちゃんと成立する、そして僕ら選手が走るからレースができる、どれが欠けても駄目だと思うんですよね。洗濯場のおばちゃん1人でもそうです。だから、福岡の3場と選手会と競走会だけでも同じ目線で協力しあえる、より良い環境にしたいです。

--支部長としては?

川上選手 そうですねぇ。もうプロの世界なんでどうしようもないかもしれないんですけど、とりあえず福岡支部からクビになる選手を一人も出さないような環境作りからしていきたいです。選手がレースにしっかり集中できるような、そんな環境だけでも作れるように交渉したり自分たちができることは知恵を絞ってやっていきたいと思っています。

その中で、例えば“芦屋モデル”みたいなのができたら、胸張れるじゃないですか。と、未来へ向けて強く明るい声で話してくださった川上剛支部長。大場広孝副支部長、渡辺浩司支部長、前田健太郎副支部長、乙藤智史理事長…福岡支部の役員5人の熱意がしっかり届いていきますように。

 
 

支部長としてだけでなく、選手間での有志を募って、特別定額給付金を利用した寄付を行うことも提案した川上選手。

「世の中コロナで大変な時に『なにをギャンブルやらしよっとや』って言われてもおかしくない中、僕たちは変わらず仕事させてもらってたんですよね。ちょうど芦屋の記念を走っている時に給付金の額が決まったのもあって、『じゃあこの10万円を上限に、財団を通じて医療従事者や大変な思いをして頑張ってくださってる方に届けられたら』というところから、話を聞いた選手たちが協力してくれたんです。本部の方からみんなに知らせようか? っていう話もあったんですけど、そうすると強制みたいになっちゃうのも違うと思ったんで、ほんと口コミだけで広がって集まったのはうれしいですよね」。

 
 

○…今回は大滝明日香選手をご紹介します。16年の鳴門オーシャンカップでSG初登場、最終日の初勝利を達成。19年はクイーンズクライマックスシリーズにも出場しました。既にスター選手のひとりですが、今年は特に勢いがあります。5月三国G3から怒濤(どとう)の6連続優出を果たし、そのうち2度の優勝を果たしました。元々、大敗の少ない選手ですが、さらに上位着が目立つようになりました。このままいけば、今期(5月以降)は7点勝率も狙えそうな好成績です。G2レディースオールスターでは、優勝候補として参加するでしょう。【芦屋ボート担当・土居恒久】

引用元URL:http://www.nikkansports.com/public_race/boat/dream/news/202007240000283.html